ただ座っているだけの卒業式も終わり、私は短いホームルームの後、せっかく午前で学校も終わりだからカラオケにでも行こうよ!!とテンションの高いクラスメートを見送り、席に座ったまま、何度経験しても実感の湧かない別れの季節というものをそこはかとなく感じていた。

挨拶したい先輩は何人かいたけど、今ごろ家族や同級生と写真でも撮ってるんだろうなーと思い、先輩の教室までわざわざ会いには行かなかった。

今日は部活動もなく、校庭では3年生らしい生徒が何人かで集まって写真を撮ったりしている。

校庭の桜はまだ六分咲きといったところで、卒業式の雰囲気を盛り上げるには少し物足りない気もする。



そろそろ人の波も落ち着いたかなとゆっくりと席を立ち、何も入っていない鞄を持って教室を出る。

昇降口について下駄箱を開けると、ピンクの封筒が入っていた。

裏返して差出人を見ると、仲良くしてくれた男の先輩の名前があった。

今どきLINEがあるのに、先輩もまどろっこしいことをするなーと思いながら、封筒を開けると、中には桜色の紙が1枚入っていた。

普通の手紙だと思っていたから、パズルが入っていたことに少し驚いたが、先輩とは何度か部活のみんなとや2人で脱出ゲームに行ったこともあるし、まぁ先輩ならあり得るな、と思った。

裏に書いてあった「14時まで待ってる。」という少し読みにくい字はまさに先輩が書いた字だ。

私は先輩の最後のわがままに付き合ってあげることにした。